考・脱原発。

兵庫通信・平成二十三年九月二十四日<第68号>に我が意を得た記事が掲載されていたので、その一部を抜粋し紹介する。

『横山光輝の思想にスポットが当たっている』

手塚治虫が漫画の神様なら、横山光輝は漫画の仏様である。
手塚が「鉄腕アトム」に未来科学の良心を託した事は有名で、人間を助けてくれる科学の粋だと描かれた。ところが横山は「鉄人28号」に不安定な未来科学に良心はなく、人間が正義を貫いてコントロールするものだと考えていたのである。
鉄人28号のテレビアニメのテーマソング二番には「ある時は正義の味方、良いも悪いもリモコン次第」という歌詞がある。悪魔から町を守るのも鉄人の仕事だが、リモコンが悪魔の手に渡れば、鉄人が町を破壊して人間の敵になるのである。
福島原発事故から「原子力というのは、手塚が夢を託したアトムではなく、横山がリモコンを絶対に悪魔に渡すなと警告し続けてきた鉄人28号だったのではないか」の声が強くなっている。
未来科学を「便利」とか「経済」とかの側面からだけ利用している間に、鉄人のリモコンが悪魔の手に渡る危険性を常に警戒しておかなければならないと、横山は考えていたのである。


福島原発事故以来、世は脱原発へ向かって怒涛の如く流れている。だがこうした流れにウチはおおいに疑問を持つ。
結論から言えば、兵庫通信に掲載されているように、原発そのものが悪ではなくこれを管理・運用する側にこそ本当の悪があるというのがウチの考えだ。
こうした視座から”強硬的な脱・原発”には反対である。

アメリカにおいて原発の建設ラッシュは70年代であるが、この時日本では”オイルショック”が起こっていた。
かつて日本が大東亜戦争へと突き進んでいった背景にはエネルギー問題が大きく関わっていた。近・現代に於いてエネルギーの確保は国家の独立を維持するためには必要不可欠であり、資源が乏しいと言われる我が日本ではいかに安全に安定的に確保するか、この問題が常につきまとっている。大東亜戦争の敗戦からようやく立ち直り高度成長時代を謳歌していた70年代の日本にとって、オイルショックは改めてエネルギー獲得の重要性を国民に知らしめる事となった。これは推察だが、エネルギーがなければ経済の成長は望めなく敗戦後の状況に逆戻りするのでないかという不安と、また戦争になるのではないかという恐怖が戦中・戦後の記憶もまだ生々しい当時の日本人にはあったのではないかと思う。

そうした時代背景を考えた時、当時の日本にとって外国に頼らず自前でエネルギーを生み出す事が出来る原発は夢のエネルギーだったと言えるだろう。原発が生み出す安定したエネルギーにより、ますますの経済発展、戦争を回避し独立を維持出来る。また、原発を誘致する事により地方に落ちる金は日本列島全体を潤す事が出来る。多くの日本人はそうした希望を抱いたのではないだろうか。

また、70年代といえば、田中角栄の日本列島改造論を思い起こす人も多いと思うが、その頃の地方はまだまだ貧しかった。都会に集団就職するのはつまり地方に仕事がないからだ。地方が原発の誘致を積極的に行った背景には地方経済を活性化し都会と地方の格差是正を解消する効果を狙っての事だろう。

こうした時代背景や目指していた方向性を考慮した場合、当時の日本に於いて原発はもっとも有効な手段の一つであったと言える。その恩恵として日本の経済はさらに発展しやがてバブルの時代を迎え、バブル崩壊後、長引く不況に苦しんでいるといえども、庶民の暮らしは70年代のその頃から比べれば格段に贅沢になっている。

こうした恩恵は何も原発だけが要因ではないにしても、原発が果たしてきた役割は無視できぬものであろう。ところが、このような事は一切忘れ去ってしまったのか、もしくは考えが至らないのかは分からないが、福島原発事故以来、多くの国民は脱・原発を声高に叫ぶようになった。

ここに強い違和感を覚えるのだ。

これまで恩恵に浴し、原発の危険性など思いもしなかった多くの国民が反省もなく、原発=悪の単純思考の下、原発事故が何故起こったのか、その原因の究明と今後の課題を棚上げにし、ただ反対のための反対を叫んでいる。この状況がおかしいとも思わない。この鈍感さの方が恐怖である。

責任は政府・東電だけではなく、ウチも含めた国民にもある。この思考が抜けているのだ。

引用した兵庫新聞に書いてあるように、原発をコントロールするリモコンを誰が握っているのか、その事に対して我々はあまりにも無警戒に過ごしてきてしまった。その反省もせずに、政府・東電の情報隠蔽や出鱈目に、国民は騙されていたのだから国民は被害者だと決め付けるのは簡単な事だ。しかし、この単純思考から脱しない限り、また同じように事態が深刻になったから反対を叫ぶという事を永遠と繰り返していくだけで、当然そこには何ら進歩を見出す事が出来ないだろう。

将来的には原発に依存しない社会を目指して行くほうがよいに決まっている。ただ、そのためにはどうすればよいのか。自然エネルギーに頼ればよいというが、風力発電では風車による低周波騒音による健康被害が報告されており、太陽光発電には、設備の維持管理の問題はもとより、原発一基分の発電量を生み出すには東京の山手線の面積に匹敵する土地が必要との報告がある。むろん、自然条件に大きく左右され安定した電気供給は難しいだろう。電気代は高騰し、それにより国内にある企業は海外へ脱出するよりほかに道はなく、地方経済どころか日本全体がますます疲弊し荒廃してゆきかねない。

この状況を回避し、日本人が日本で普通に暮らし老いて死んでいく事が出来る国にしていくために、有効な手立てが見つからない状況にあってはどうしても原発に頼らざるを得ないのだ。原発・火力・水力、それぞれメリットもあればデメリットもある。いかにリスクを最小限に抑えるか、この事を考えずに原発をすべて駄目とする今の流れは、かえってリスクを高める結果になる恐れがある。そこが怖いのだ。

強硬的な脱・原発は日本の後退を招きかねず諸手を挙げて賛成は出来ない。原発を運用しながら新しい技術を開発していく。これが現実的ではないだろうか。
例えば日本近海にはメタンハイドレートという海底資源が眠っていたり、藻から商業用燃料を作る技術を研究している。これらを商業化・実用化出来れば、脱・原発に向けて展望が開けてくるのではないかと思う。

原発をエネルギー政策の選択肢から今すぐに外すことは現実的ではない、原発の運用・管理を今後どうするのか、将来、原発の依存度を下げていくための研究・課題の検討など、あらゆる利権を断ち切って議論をする事が今求められている事ではないだろうか。

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この記事へのコメント

tokumei
2012年01月14日 18:36
神道教育が起源の、創価学会から、はじまった公明党には、票を入れられません
。なぜなら、日本は、国教国家ではなく、世俗国家
なのです。これは、ほぼ違憲であり、戦後の、反省の立場から、公明党が政権を
とることを想定すると、神道国家に回帰するため、
アジアや旧連合諸国にたいする国際的なプレゼンスや国際関係を著しく悪化する
ものと思われます。また、別の観点から、創価大学を持っているといえども、「
学会」と言う名称も、国際的には、本来の学会の意味でないため、非常に不適切
な団体です。
創価学会との無関係を訴える公明党ですが、フジテレビの選挙報道時は、「創価
学会のみなさん」と不自然なくらい必ず、放送します。
ブッシュドクトリンに協調した小泉自民・公明は、「テロとの戦い」を表明する
も「オウム真理教」に破防法を適用できない失敗をし、野党に追いやられました

つまり、宗教団体は、特に、世俗国家においては、政党を持つべきではありませ
ん。
小泉元総理は、公明党と公約を守って、「自民党をぶっこわす」だけでなく、原
発も
ぶっこわしたのです。福島の原発は、小泉総理の元で、規制緩和とともに始まっ
た、政策です。世襲制にも反対しましょう。自民と公明に責任をとらせましょう
。死んだ土地を買い取らせましょう。

フジテレビと自民党・公明党のみえすいた癒着もぶっこわしましょう。

リリーさん
2012年01月17日 21:06
tokumeiさん、コメント有難う御座います。
公明党はいわば創価学会の出先機関のようなもので、実権を握り操作をしているのは池田大作である事は今や周知の事実でしょう。
国家と宗教は表裏一体で完全に切り離す事は出来ませんが、創価学会はごく一部の日本人が信仰する宗教に過ぎず、池田が日本の裏の支配者になる事は多くの国民は望んでいない事です。創価学会が率いるその一党に政権を任せてはいけません。日本は北朝鮮のような、世襲制の独裁国家ではありませんしね。

原発の問題も難しいですね。
福島の事故以来、ウチなりにずっと考え今も尚どうすればよいか悩んでいます。

原発事故の対応において、いたずらに多くの国民を被爆させた民主党の責任は極めて重いものがあります。しかし、こうした事態を招いたのは自民党の歴代政権にも責任があります。さらに言えば、災害対策が不十分だった原発の問題を報道してこなかったマスコミの怠慢、これも大きな問題かと思います。

様々な癒着・しがらみなどを一度ぶっ壊すところから、日本を再生していかないとどうにもならないのが現状なのかなと思います。
当然、困難な道でしょうが、ウチはウチでできることをコツコツと続けていこうと思っています。
ろくでもない今の現状ですが、お互い少しでもこの国をよくしていこう志を持ち続けていきましょう。

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